日本パズル選手権2010の問題感想
自分が実際に問題を解いての感想です。とても楽しい2時間でした。ネタバレ全開ですのでご注意ください。問題はJPF公式サイトからどうぞ。
- テトロミノ固め
- いきなり自分の出題です。推敲不足の問題を例題に流用した結果、別解発生というひどいことに。混乱させてしまい申し訳ありませんでした。問題自体はメカニカルの分野では「アンチスライド」と呼ばれているパズルになります。ポリオミノ普及のため、この手の問題を毎回必ず提案するようにしているのでした。2ピース以上が同時に動くのはアリかナシか、という点も本来大事なのですが、今回は気にしなくていいように作ったつもり。完全に理詰めではなく、ある程度アタリをつけた上でえいや!とひらめき一発で解いてもらうのを想定しています。
- ドミニオン
- シンプルなルールでいいですね。「ドミノが隣接しない」というのは条件としてかなりきついので、得意な人は考えるより早く手が動くかも。苦手な人は、きっちり黒マスの隣に印をつけ丁寧に進めましょう。
- 玉石混合プレース
- 10点問題ですが、ちょっと難しめの問題でしたね。これで躓いた人も多そうです。枠外の数字は「その列で何個目の丸が●かを表す」という意味ですが、まずはこれを使って●の位置をある程度確定させてしまいます。その後は○の位置を確定させていくわけですが、さっきのルールを「●の手前には(数字−1)個の○がある」という形に言い換えると、ちょっと考え易くなるかも。
- マーガレット
- シンプルな全マス通過系ループパズル。「広場で必ず曲がる」というのが地味に効いてきます。面倒そうでも、通らないと分かった道に印をつけておくのがオススメ。その方が結果的に早く確実に解けると思います。線が見づらい・ごちゃごちゃしてしまうという場合は、勇気を出して太めのペンを使うのも手です。
- アナーキーパズル
- ロジカルではない言葉系の問題です。大会後に指摘されて気づきましたが、右から左に読むとどんぐりコロコロ!さて、これしかなさそうという場所から埋めていきましょう。その際、使った文字をリストから消すのを忘れずに。複数の可能性がありそうな場所はとりあえず保留しておき、残りの文字と相談しながら慎重に。パズルの基本ですね。ちなみに、こういう言葉のパズルは、単語としての語感が面白いと正解の可能性が高いです。決断しなければいけないときは、声に出したい日本語みたいな方を選ぶといいかも。責任は持ちませんが…(笑)。
- フォービドゥン4
- 「一直線上に4つ以上連続してはいけない」と「全体がひとつながりに」を組み合わせてバリバリ進めていきます。どっちか一方にとらわれがちですが、同時に両方の条件を使うことも多いので注意です。「○が4つ以上連続してはいけない」ので、逆にたくさん連続しそうな場所を積極的に探しましょう。例えばこの問題の場合、右上や左下の角は、細長い道になっているので、○が一直線に連続しやすいです。作者の稲葉さんのサイトで数問解けるので、リベンジに燃える方はぜひ。
- くっつかないABCプレース
- オーソドックスなABCプレースに、「文字同士はタテ・ヨコに接しない」というルールを付け加えたパズルです。文字と文字の間にスペースが必要なので、3文字でも最低5マスは必要になります。ABCプレースに慣れた人ほど混乱するかもしれません。とにかく、何も入らないマスには×を、何か文字が入るマスには○を書き込んでおくのが大事ですね。
- 中と半端な分割
- 「○はブロックの中心、半円はブロックの端」は「○からは二方向に伸びる、半円からは一方向だけに伸びる」という意味になります。中央にちょっとしたひっかけがあるので、そこで消しゴムを使うことになった人もいるはず。ハタンしてしまった時は、一旦ルールの文章を読みなおすクセをつけましょう。早解きでは思い込みが一番怖いのです…。
- ABCプレース風バトルシップ
- 2つの人気定番パズルが合体。一番ヒントになるはずの外側の列が秘密なのがいじわるですねー(笑)。バトルシップでもABCプレースでも、一番大事なのは何も入らないマスを見つけることです。隣の列に伸びるようなパーツの位置に注目すると二つの列の、絶対にここには置けない、というマスが見えてくると思います。
- 韓流名付け親スケルトン
- これも自分の出題です。今大会は、言葉を使ったパズルが多いのが特徴ですが、この問題は言葉を使いつつも完全にロジカルに解けます。スケルトンって面白いんですよ!どこが姓と名の区切りなのかに注意して進めましょう。あと、これはまったく意図していない事なのですが、「ン」と「ソ」を見間違えて大変、と言った感想がありました。文字を書き込むときには丁寧に(笑)
- はじめの一歩
- かわいらしい見た目と分かりやすいルールとは裏腹に、かなり骨のある問題でした。マスを通る順番が大事なので、ただの線を書き込むのではなく、矢印を付け加えて流れを見やすくしましょう。それと、足跡のマスには1、次に通るマスが分かったら2、と言った感じで書き込んでおくのも、勘違いが少なくなるのでオススメです。遠回りするルートがあったりと可能性を見逃しやすいので、時々紙から顔を上げるなどして、広い視点を忘れないようにすると吉。
- 連カツ
- ブロックの大きさが固定されていないブロック分割です。「同じ数字は同じブロックにはならない」という基本の考え方が、より大事になってきます。それと、どんな大きさになるかは分からずとも、例えば「5には1から4は必ずくっつく」といった考え方は使えます。また、難しいブロック分割では、広いようでいて実は窮屈、という場面がたくさんあります。この「見えない壁」をすぐに見つけられるかが勝負。
- 2択で点つなぎループ
- 二択を使ったパズルは、とっかかりが見つけづらいんですよね。でも、最初の手がかりが見つかったあとは、流れるように一本道で解けることが多いです。分からないまま変なところから強引に解くと、絶対にとても苦労するので、時間がかかっても最初に正しいとっかかりを見つけましょう。
- 奇偶なウォールロジック
- 西山さんのオリジナルですね。奥が深いルールを活かした正統派の難問でした。どちらが奇数か偶数か頭に入りにくい場合は、奇数の数字を△で囲んであげると、奇数っぽい雰囲気が出るのでオススメです。ホントか?
- 熟語パネル
- 正統派漢字パズルです。ロジカルなパズルは得意だけどこれは…という人も多そうですね。自分も漢字は苦手なので本番では最後まで解けず…。「欣」の字を使った熟語が全然浮かばなかったので、途中で素直に諦めました。こういうのもバリバリ解ける人かっちょいいよなぁ…。
- 幾何学ビルディング
- 幾何学らしい解き方をばんばん使います。この問題だと「左上角のマス」に入る数字は「右から2番目・上から2番目のマス」に入る数字と同じになります。このような連鎖するマスは常に意識しましょう。あとビルディングパズルを解くときは、マスとマスの間に不等号を書くと大幅に解きやすくなります。これはホントにオススメ。
- ウッドプレース
- このルールいいなぁ。大好きです。バトルシップと同じような原理を使って解くパズルなので、やっぱり入らないマスに印をつけるのが大事になってきます。ナナメに木が繋がる場合は絶対「森」、などこのルール独自の法則をいかに早くつかめるか。
- 重力
- 3題目の自作です。数年前のJPC郵送予選でも出題されたので、解いたことある人もいるかな?「2x2禁」「全体ひとつながり」が一番重要で、重力ルールはその味付けに使っています。そうだ、インストラクションの例題が鬼のように難しくてご迷惑をおかけしました。でもこれ例題は自分ではなく他の方が急遽作った問題なんです…。例題添えなかった自分が悪いんです…。すいませんすいません。
- ABCルーム
- これも×をつけるのが大事なパズルですね。その上で、3ブロックしかない列を探していくことになります。すべての部屋にアルファベットが入るわけではないので、その点勘違いしないように気をつけましょう。
- What's next? & Missing number
- さぁひらめき問題です。解けた試しがありません(笑)。この手の問題のベタなネタがいくつかあると思うんですが、その中のひとつ「差を取ってみる」を正直に試した人は、今回ちょっといい思いが出来たかもしれませんね。
- 周囲のサムクロス
- がっつり計算系パズルです。ルール自体はとてもオーソドックスなので、丁寧に進めれば絶対に解けるはずですが、早い人はめちゃめちゃ早いんですよねー。隣にいると大いに焦りますが、これはネット予選。点数も大きいので焦らず確実にこなしましょう。候補を片っぱしから書くとごちゃごちゃして見づらいので、二択になった時点で書き込むくらいで十分だと個人的には思います。
- 3種類ループ
- シンプルですがとても奥が深い。いいパズルだなぁ。よく見ると盤面にJPCの文字も隠れています。最初はおずおずと解き始めますが、だんだん「あれ、この考え方さっきも使ったな…」という場面が出てきます。それは大事な手筋ということになるので、頭にしっかり入れておきましょう。むしろ、その考えが使えそうな場所をさがすようにすると効率が良くなってきます。
- 足し算アロー・スクエア
- 足し算アローナンプレと基本は一緒ですね。ナナメの線には同じ数字が入ることがあるので注意が必要です。むしろ、作り手からすると、積極的に同じ数字を入れたくなるので、解き手は手ぐすねしながら待ち受けるのがいいと思います。今回はさらにそこでひねりが加わっていたわけですが…。盤面はよく見ないといけませんね。
- 覆面片面ペントミノ
- まさかペンシルパズルの大会で「片面ペントミノ」という言葉を目にするとは…。これは今回の問題の中で一番てこずりました。「左下の6の形が決まるけど、その先はどうしたものか…あとはペアになるならないで候補が少し絞れるくらいで…」となったはず。普段のパズルだと、ヒントが多い部分に注目してしまいますが、敷き詰め系の問題ではヒントが薄い場所も同じくらい大事です。具体的には、一番上の横列・左から5番目のマスに注目してみましょう。このマスに届く数字は「中央の2・左上の4・10」の3つしかありません。2だとするとI型になりますが、2はFLNPYZのどれかなのでダメ。10はITUVWXのどれかのはずですが、そのどれにもなれません。よってこのマスに伸びるのは4!と言った感じ。
- ゜゜シークワーズ
- 点数は高いですが、とても素直な問題です。゜が多い単語など、条件が厳しそうなものから順に探していきましょう。このようなパズルで一番大事なのは、横着せず丁寧に探すこと。急がば回れの精神で急ぎましょう。